センセイとわたしのただならぬ関係
「でも学校のみんなが知ったら、驚きますよ。先生、学校とまったく雰囲気が違うから。学校ではわざとダサくしてるんですか?」

「ああ、容姿のことで無駄に騒がれたくないから」

ふーん、自分がイケメンだって、自覚があるんだ。

「副業も知られたくないから、学校の人間が行かなそうな店を選んだし。まあ、知り合いがやってたってこともあるけど」

 確かに、よほどの金持ちか食通しか行かない店だ、あそこは。
 料理にワインを合わせると目玉が飛び出る金額になる、と高級レストランに行き慣れている父もこぼしていたぐらいだし。

「でも、それなら、声かけなければよかったのに。気づいてませんでしたよ、先生だって」 

「まあ、そうなんだけどね」
 先生は顔を少し傾けて、じっとわたしを見つめた。

「あのとき、梅谷が他の人みたいに幸せそうに見えなかったんだよ。で、つい、お節介してしまったんだ。声かけないほうがいいってわかってたんだけど」

 先生の言葉に、ドキっと、心が反応した。
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