センセイとわたしのただならぬ関係
 おとぎ話のかぐや姫ではカットされている、求婚する貴公子たちや、かぐや姫が唯一、心を通わせた帝の話は知らなかった。
 貴公子たちが妙に人間臭くて面白い。
 はじめから宝物を探さずにズルする人もいて、昔の人も今とあんまり変わらないんだと思った。

 そして、かぐや姫が月に帰るラスト。
 天の衣を身に着けたら、地上でのことはすべて忘れてしまうと知って、かぐや姫が最後に帝に手紙をしたためて別れを惜しむ場面では、きゅーっと胸が痛くなるほど切なくなった。

 知らなかった。
 かぐや姫も叶わぬ恋をしていたんだ。
 
 古典、面白いかも。

 わたしはそんな感想のメールを先生に送った。

 するとすぐ、返信のメールが来た。
「ちゃんと読んだんだな。えらいよ」と。

 即レスだったことで、先生もわたしのこと、少しは気にしてくれてたのかなって嬉しくなってしまった。

 でも、それがいけなかった。
 しばらく抑えつけていた先生を想う気持ちがはじけた。

 えー、まだ8月にもなってない。
 2学期まで、あと1カ月もある。先生に会いたい。
 その気持ちは日ごとに募る。
 会いたい。会いたい。
 会いたい、会いたい、会いたい。

 
< 46 / 82 >

この作品をシェア

pagetop