センセイとわたしのただならぬ関係
 そして、夏休み最後の週末。
 夕方、父から電話があり、食事に呼び出された。
 
 指定された場所は、お台場にあるエスニックレストラン。
 大きなガラス窓からライトアップされたレインボーブリッジが一望できる見晴らしの良い店だった。

 そして、わたしの向かいには、今日も田坂さんが座っていた。

「そろそろ、おまえにもきちんと話しておいたほうがいいかと思ってな」
 父がそう話を切り出し、わたしは悪い予感に身震いした。

「俺はおまえと田坂が結婚して、会社を継いでほしいと願っている。式は大学卒業後としても、来年、おまえが18になったら結納をすませようかと」

 思ったとおりだ……

 田坂さんは自分では何も言わず父の横でただ頷いている。
 父はまるで決定事項のように告げた。
 わたしの意向を聞く気はまったくないらしい。
 
 じゃあ、こっちから言ってやらなきゃ。
「嫌です。田坂さんとは結婚しません」

 父は顔をしかめて、内ポケットから封筒を出し、テーブルの上に抛った。

「へんな男にたぶらかされたからか」
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