センセイとわたしのただならぬ関係
「わたしはお父さんの持ち駒じゃない! 勝手に結婚相手を決めたりしないで!」
「だから、そういう生意気な口はきくなと言ってる。座りなさい」
「嫌、無理強いされても、絶対、うんと言わないから!」

 わたしは出口に向かった。

 父がわたしを連れ戻そうと手を掴んだ。
「小春! 待ちなさい」
「離して」

「言う通りにすれば、間違いはないんだ。俺が小春の幸せを第一に考えているのがわからないのか」
「わたしのためじゃなくて、会社のためでしょう。もう離して! パパなんて、大嫌い!」

 いつも「嫌い」という言葉は心に留めていた
 はっきり口に出して言ったのは、これが初めてだった。

 父にはその言葉がショックだったようで、わたしから手を放した。
 
 なんで、いまさら、そんな顔するんだよ。

 心のなかで毒づきながら、わたしは店を飛びだした。
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