センセイとわたしのただならぬ関係
「死ぬほど心配すればいいんです。あんな親……」

「梅谷!」
 先生は大きな声でわたしの言葉を制した。
 これまで、一度も聞いたことがないような厳しさを含んでいて、わたしはビクッと身体を震わせた。

「俺も確かに、きみのお父さんのやり方には同意はできない。でも、だからといって、心配かけていいことにはならない」

 そうだ。
 そういえば、先生。
 お父さんを早くに亡くされたと言っていた。
 そして、お母さんに心配をかけまいと、自分の夢を犠牲にしても、教師をしていると。

 そんな彼からしたら、親を蔑ろにするようなことは許せないのだろう。

 わたし、先生に嫌われるようなこと、してるんだ。
 そう思ったら、いつのまにか涙が頬を伝っていた。

 啜り泣くわたしに、先生はポケットからハンカチを出し、手渡した。

「きつく言いすぎたな。すまない。でも、逃げないでちゃんと話し合わなきゃだめだよ」
「そう……ですね。わかりました」
「いい子だ」
 そう言って、先生はわたしの頭に手を伸ばして、久しぶりに頭を撫でてくれた。
「先生」
 顔を上げ、先生の目を見た。
 いつものように優しさを湛えている。

 良かった……
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