センセイとわたしのただならぬ関係

***

 先生の店がある青山通りからわたしの家までは15分ほど。

 わたしは母にもうすぐ帰るから、とメールした。

 この時間、道は空いているので、あっという間に家に近づいていく。

 車窓から見える景色が見慣れたものになっていくにつれ、切羽詰まった気持ちになってきて、胸が締め付けられる。

 言わなきゃ。
 好きだと、ちゃんと言葉で伝えよう。
 振られることはわかっているけど。
 
 もう宙ぶらりんは嫌だ。

 気持ちを告げた上で、きちんと振ってもらいたい。
 先生のこと、本当に諦めるために。

「先生……」

 わたしが声をかけると、先生は振り返ってわたしの顔を見て、少し驚いた声を出した。

「顔が青いな。どうした? 気分が悪いのか」
「いえ……そんなこと、ないですけど」
「いや、真っ青だよ。ちょっと待ってろ。すぐ停めるから」

 そう言って、先生は慌てて公園の脇に車をつけた。

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