センセイとわたしのただならぬ関係
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先生の店がある青山通りからわたしの家までは15分ほど。
わたしは母にもうすぐ帰るから、とメールした。
この時間、道は空いているので、あっという間に家に近づいていく。
車窓から見える景色が見慣れたものになっていくにつれ、切羽詰まった気持ちになってきて、胸が締め付けられる。
言わなきゃ。
好きだと、ちゃんと言葉で伝えよう。
振られることはわかっているけど。
もう宙ぶらりんは嫌だ。
気持ちを告げた上で、きちんと振ってもらいたい。
先生のこと、本当に諦めるために。
「先生……」
わたしが声をかけると、先生は振り返ってわたしの顔を見て、少し驚いた声を出した。
「顔が青いな。どうした? 気分が悪いのか」
「いえ……そんなこと、ないですけど」
「いや、真っ青だよ。ちょっと待ってろ。すぐ停めるから」
そう言って、先生は慌てて公園の脇に車をつけた。