センセイとわたしのただならぬ関係
 起業家にありがちだけど、父はとにかくワンマン。
 母に対しても、モラハラまがいのことを言ったりする。

 そんな父はあまり好きじゃない。
 一生、父の管理下で、父の息がかかった人と共に暮らすなんて。
 考えただけでも怖気(おぞけ)が走る。

 と、せっかくの誕生日なのに、そんなことばっかり考えてしまって、ぜんぜん楽しめない。

 でも、わたしがこんなに仏頂面でアピールしてるというのに、大人たちはまったく気に留めない。

 ああ、前途多難。


 で、父と田坂さんがビジネスの話で熱く盛り上がっているのをぼんやり見つめていたら、何を思ったか、父がわたしに言った。

「なんだ、おまえも飲んでみたいのか」

 わたしが物欲しげにワイングラスを眺めているように見えたらしい。
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