センセイとわたしのただならぬ関係

「おい、小春。厳しい世界だぞ。この場の勢いで決められるようなことでもない」
　父がたしなめる。

「パパ。どうして、わたしにはできないって決めつけるの？　もちろん、今すぐは無理だけど、これからいろいろなことを学んでいけば、できるはずだよ。まずは大学受験、頑張るし」

　父は意外そうな顔をした。
「小春、おまえの口からそんな言葉が聞けるとはな。今まで、勉強も部活も中途半端で。だからこそ、将来を危ぶんでいたんだがな」
　
　先生がわたしに優しい目を向けた。
「俺も協力するよ。とくに古文は共テで満点取れるまで鍛えてやる」
「ひえ、また、鬼特訓？」
「ああ、覚悟しとけよ」

　微笑みあうわたしたちを見て、父は言った。
「本音を言えば、まだまだ娘を手放したくはないんだが……小春のことはきみに任せたほうがよさそうだ。よろしく頼むよ」

　先生はまっすぐに父を見て、言った。

「生涯をかけて、大切にします」
　父はその言葉に、深くうなずいた。