センセイとわたしのただならぬ関係
「例えば……キスとか」
 彼はわたしの髪にキスを落とし、それからふっと笑った。
「なに、思い出し笑い?」
「いや、そういえば、学校で危うくキスしかけたことがあったな、と思って」

 思い出してみても、そんなこと、なかったような気がするけど。
「いつ?」
「小春が高2のとき。一緒に図書館いっただろ?」
「うん」
「あのときの小春、なんかものすごく可愛くてさ。本棚の陰だしな、と思って。めちゃめちゃ心が動いたんだけど、なんとか耐えた」

 あ、あのとき。
「えー、してくれればよかったのに」
「そういうわけにはいかないって」
「もう、高校生には戻れないのに……」

 先生は両方の口角を上げて、わたしの顎に指を添えた。
「でも、高校生にはできないこと、これからゆっくり教えてあげるよ」

 彼は耳元で囁く。
「まずは……大人のキスからな」
「また……鬼特訓?」
「いや、激甘特訓」
 先生はわたしの頬を撫で、それから唇を奪った。
 どれだけのこと、教えてくれるんだろう。

 ちょっぴりの不安と抱えきれないほどの期待を胸に、わたしは先生のキスに酔いしれた。

〈The Happy End♡〉
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