まもなく離縁予定ですが、冷徹御曹司の跡継ぎを授かりました
「二か月前に突然他界して、急遽長男の俺が会社を継ぐことになった」
「私、すみません。なにも知らなくて」
失礼なことを言ってしまったと俯いたとき、いきなり膝の上にファイルに入った書類が乗せられびくっとする。上部には【契約書】との文字が見え困惑していた。
「それは月島リゾートの全施設で扱っている客室用の浴衣と従業員用の着物を向こう十年間、『きもの鷹宮』からだけ仕入れると約束した契約書だ。下に鷹宮社長のサインもある」
あまりに唐突で瞬きが多くなる。ざっと確認したところ彼が言った通りの内容で契約が交わされていて、サインも確かに父の字だった。
「あ」
そこで気づいてしまった。契約が交わされた日付はまさに今日で、父とふたりきりでいた客間での光景が思い出される。
「どういうつもりですか」
「ん?」
でも契約内容は他に何の見返りもない好条件で、月島リゾートのような大きな会社がうちと契約するメリットが見つからない。これでは話がうますぎると逆に不信感を持った。
「父に何を言ったんです」
「私、すみません。なにも知らなくて」
失礼なことを言ってしまったと俯いたとき、いきなり膝の上にファイルに入った書類が乗せられびくっとする。上部には【契約書】との文字が見え困惑していた。
「それは月島リゾートの全施設で扱っている客室用の浴衣と従業員用の着物を向こう十年間、『きもの鷹宮』からだけ仕入れると約束した契約書だ。下に鷹宮社長のサインもある」
あまりに唐突で瞬きが多くなる。ざっと確認したところ彼が言った通りの内容で契約が交わされていて、サインも確かに父の字だった。
「あ」
そこで気づいてしまった。契約が交わされた日付はまさに今日で、父とふたりきりでいた客間での光景が思い出される。
「どういうつもりですか」
「ん?」
でも契約内容は他に何の見返りもない好条件で、月島リゾートのような大きな会社がうちと契約するメリットが見つからない。これでは話がうますぎると逆に不信感を持った。
「父に何を言ったんです」