まもなく離縁予定ですが、冷徹御曹司の跡継ぎを授かりました
歩きながら観光ガイド並みの紹介をしてくれる。
でも先程から言葉の端々に出てくる〝おさえておく〟とか〝おすすめしてあげる〟とかいう言い回しに正直少し引っかかる。笑顔で流しつつ頭の中にはハテナが浮かんでいた。
「急に若女将ともなれば色々と覚えることも多いでしょうから、こんなことでよければいくらでもお手伝いを――」
「ちょ、ちょっと待ってください」
あまりにもさらさらっと言われて危うく聞き逃しそうになる。さっきからどこか話が噛み合わないと思っていたけれど、今突拍子もない言葉を聞いてしまった気がする。
「若女将?」
しかし彼女は不思議そうにぽかんとする。
「一哉様とご結婚されたのですからてっきり月島旅館を継がれるのかと」
「あの、一哉さんは月島リゾートの社長さんじゃ」
「ええ、でも月島旅館も管理されています。たしかに月島リゾートのお仕事もありますから旦那様がご健在の時もほとんど女将である若葉様に任せっきりでしたが」
衝撃だった。
私は何も知らない。ただ一年後の記念式典まで月島リゾートのお飾りの社長夫人を演じていればそれでいいと思っていた。
でも若女将となれば話はまるで変わってくるし、お飾りなんて言っていられなくなる。こんな重要な話いつまで隠し通すつもりだったのだろうか。
でも先程から言葉の端々に出てくる〝おさえておく〟とか〝おすすめしてあげる〟とかいう言い回しに正直少し引っかかる。笑顔で流しつつ頭の中にはハテナが浮かんでいた。
「急に若女将ともなれば色々と覚えることも多いでしょうから、こんなことでよければいくらでもお手伝いを――」
「ちょ、ちょっと待ってください」
あまりにもさらさらっと言われて危うく聞き逃しそうになる。さっきからどこか話が噛み合わないと思っていたけれど、今突拍子もない言葉を聞いてしまった気がする。
「若女将?」
しかし彼女は不思議そうにぽかんとする。
「一哉様とご結婚されたのですからてっきり月島旅館を継がれるのかと」
「あの、一哉さんは月島リゾートの社長さんじゃ」
「ええ、でも月島旅館も管理されています。たしかに月島リゾートのお仕事もありますから旦那様がご健在の時もほとんど女将である若葉様に任せっきりでしたが」
衝撃だった。
私は何も知らない。ただ一年後の記念式典まで月島リゾートのお飾りの社長夫人を演じていればそれでいいと思っていた。
でも若女将となれば話はまるで変わってくるし、お飾りなんて言っていられなくなる。こんな重要な話いつまで隠し通すつもりだったのだろうか。