俺はずっと片想いを続けるだけ*2nd
天使が怒りの鉄槌を~クリストファー
クリリンと、リゾートホテルのロビーで大声で呼び止められた俺。
俺をクリリンと呼ぶのは、ただひとり……
「ご無沙汰しております、プライズ嬢」
「やだ!プライズ嬢なんて、他人行儀ね!」
やだ、って俺が言いたいよ。
俺達は立派な他人じゃないか、何言ってるんだ。
こんな人前で、それも俺の愛妻の前でクリリンなんて、呼びやがって。
俺はプライズ嬢から視線を外して、隣に立って成り行きを見守っているグレイスの肩を抱き寄せた。
「紹介しよう。
こちらはこのホテルのオーナーのご令嬢。
プライズ嬢、先月結婚した妻のグレイスだ」
「初めまして、プライズ様。
グレイス・クレイヴン・グラッドストンと申します」
クリリンだの、他人行儀だの、のやり取りをグレイスが内心どう思ったのかわからなかったが、彼女は丁寧にカーテシーをした。
俺は本当に彼女のこういうきちんとしているところ(まあ全部だけど) が大好きなんだ。
ホントに好き、尊敬する。
「それはそれは……ご結婚おめでとうございます。
ご家名でご予約をいただきましたので、グラッドストン侯爵様ご夫妻だと、思い違いをしていました。
もし奥様さえよろしければ、新婚のご夫婦に相応しい素敵なお部屋に変更させていただきたいのですが?」
プライズ嬢もさすがにグレイスに対しては、馴れ馴れしい態度は取らなかった。
だから、ちょっと警戒心を解いてしまった。
……それを見逃す訳がないのに。
続いて、彼女は爆弾を投下した。
「私、当ホテルの次期オーナーの、メルローズ・プライズと申します。
どうぞ奥様も旦那様のように、私のことは『メルメル』とお呼びになってくださいませ」
俺をクリリンと呼ぶのは、ただひとり……
「ご無沙汰しております、プライズ嬢」
「やだ!プライズ嬢なんて、他人行儀ね!」
やだ、って俺が言いたいよ。
俺達は立派な他人じゃないか、何言ってるんだ。
こんな人前で、それも俺の愛妻の前でクリリンなんて、呼びやがって。
俺はプライズ嬢から視線を外して、隣に立って成り行きを見守っているグレイスの肩を抱き寄せた。
「紹介しよう。
こちらはこのホテルのオーナーのご令嬢。
プライズ嬢、先月結婚した妻のグレイスだ」
「初めまして、プライズ様。
グレイス・クレイヴン・グラッドストンと申します」
クリリンだの、他人行儀だの、のやり取りをグレイスが内心どう思ったのかわからなかったが、彼女は丁寧にカーテシーをした。
俺は本当に彼女のこういうきちんとしているところ(まあ全部だけど) が大好きなんだ。
ホントに好き、尊敬する。
「それはそれは……ご結婚おめでとうございます。
ご家名でご予約をいただきましたので、グラッドストン侯爵様ご夫妻だと、思い違いをしていました。
もし奥様さえよろしければ、新婚のご夫婦に相応しい素敵なお部屋に変更させていただきたいのですが?」
プライズ嬢もさすがにグレイスに対しては、馴れ馴れしい態度は取らなかった。
だから、ちょっと警戒心を解いてしまった。
……それを見逃す訳がないのに。
続いて、彼女は爆弾を投下した。
「私、当ホテルの次期オーナーの、メルローズ・プライズと申します。
どうぞ奥様も旦那様のように、私のことは『メルメル』とお呼びになってくださいませ」