イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く

告白は突然に

年の瀬も押し迫った十二月第二週の日曜日。

鎌倉(かまくら)駅からほど近いレストランの個室で、会席料理を口に運ぶ。

今日は祖父の一周忌。

午前中にお寺でお経をあげてもらって、湘南の海と江ノ島が一望できる霊園に出向いて、大切な家族が眠るお墓のお参りも済ませて来た。

墓前で大きな瞳からポロポロと涙をこぼしていた妹のひまりも、今は元気を取り戻して料理を頬張っている。

今回の法事に参列したのは私((みな)()あかり)とひまりと、五年前に病気で亡くなった母親の幼なじみである彼((さくらば)()(そう)())の三人だけ。

両親が離婚して母親の実家がある鎌倉に引っ越して来た私たちにとって、彼は年の離れた兄のような存在で「宗ちゃん」と呼んで慕っている。

サラリとした清潔感のある黒髪と、奥二重の瞳と通った鼻筋が印象的な彼は一見するとクールに見えるけれど、実はよく笑うし意外とおしゃべりだ。

「ねえ、宗ちゃん。私ね、二十四日のクリスマスイブに、(あい)ちゃんの家に友だちと一緒にお泊りするんだ」

ビールを飲む宗ちゃんに向かって、ひまりが猫っ毛のやわらかい髪をふわりと揺らして自慢げに話しかける。

ひまりが口にした『愛ちゃん』とは仲良くしているクラスメイトの名前。友だちの家に泊まるのは今回が初めてで、二週間後に迫ったクリスマスイブが待ち遠しくて仕方ないようだ。
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