イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
返事に困っていると、彼が私の耳もとに唇を寄せた。

「あかりちゃんを俺だけのものにしたい」

物腰がやわらかくて笑みを絶やさない彼が初めて見せた甘い独占欲に、頬が熱く火照り出したのも束の間、耳にかかる吐息交じりの言葉を聞いてハッと気づく。

今年のクリスマスイブは土曜日で、次の日の日曜日は仕事が休み。しかも、ひまりはお友だちの家にお泊りに行っている。

この機会を逃したら、今度はいつふたりきりになれるのかわからないのだと。

「私も宗ちゃんをひとり占めしたい……です」

今まで家族同然に思っていた宗ちゃんと一夜を過ごすのは恥ずかしいけれど、二十も年下の私をひとりの女性として見てくれている彼の思いに応えたいという気持ちの方が強い。

「ありがとう。忘れられないクリスマスイブにしよう」

「うん」

肩まで伸びた髪が海風になびくなか、二週間後に迫ったクリスマスイブを待ち遠しく思いながらふたりで微笑み合った。
< 20 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop