イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
聖なる夜にはシャンパンが似合う。

「うん」とうなずき、宗ちゃんが店員を呼んでシャンパンをオーダーする様子を見守る。しかしそれも束の間、店員の口から予期せぬ言葉が飛び出した。

「お客様。年齢が確認できる証明書をお持ちでしょうか?」

「あ、はい」

童顔のせいで十代に間違われることは多いけれど、証明書の提示を求められるのは生まれて初めて。

戸惑いつつもバッグからお財布を取り出して、常に携帯している健康保険証を店員に渡す。

「ありがとうございます。すぐにシャンパンをご用意いたします」

シックなワンピースに身を包んでも二十歳未満に見えてしまう事実にショックを受けながら、返された保険証をしまってため息をつく。

「彼も仕事だから仕方ないね」

宗ちゃんの言う通り、職務を全うした店員を責めることはできない。

「そうだね」

モヤモヤした気持ちを胸に抱えて返事をすると、ほどなくしてシャンパンが運ばれて来た。

「乾杯しようか」

「うん」

黄金色に輝くシャンパンが注がれたグラスを軽く掲げて口をつける。けれどシュワシュワと泡立つ液体が喉を通り過ぎていっても、一度沈んだ気持ちは晴れなかった。
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