イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
ひまりの将来を考えたら無駄遣いはできない。

白亜の家に住めるかもしれないと夢見てしまった自分を恥じていると、頭の上に大きな手がポンとのった。

「建て替えを言い出したのは俺だから、お金のことは気にしないでほしい」

宗ちゃんが切れ長の瞳を細めて笑みを浮かべる。

建築士という仕事柄、住む家にこだわるのは当然なのかもしれないけれど、どうしても気になることがある。

「宗ちゃんが結婚を急ぐのは、ご両親を安心させたいから?」

近所に住んでいたご両親は今、鎌倉から車で十五分ほどの距離にある逗子(ずし)のシニア向け分譲マンションで暮らしていると聞いている。

ご両親の年齢は詳しく知らないけれど、彼の年を考えれば高齢のはず。

初めてのデートでプロポーズをして、家の建て替え費用を負担すると言い出した彼の真意を探るように、端整な顔を覗き込んだ。

「まあ、その気持ちもゼロではないけど、プロポーズしたのはただ単にあかりちゃんを一日でも早く奥さんにして一緒に暮らしたいから。こう見えて俺は独占欲が強いんだよ」

宗ちゃんが私の手を握って、左薬指に唇を寄せる。

不意打ちの甘いスキンシップを受けたら、平常心ではいられない。

胸をドキドキと高鳴らせて、宗ちゃんに熱いまなざしを向ける。
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