イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
「おはようございます。水瀬です」

『おはようございます。愛の母です。ひまりちゃんですが、朝起きてから元気がなくて。念のため熱を測ったら三十七度五分あったのでご連絡しました』

今日は愛ちゃんのお父さんの運転で、三十分ほどの距離にあるショッピングモールに行くとひまりから聞いている。でも、熱があるのに外出させるわけにはいかない。

「そうでしたか。ご迷惑をおかけしてすみません。今横浜にいるんですけど、すぐに迎えに行きます。私が行くまでひまりをよろしくお願いします」

『はい。こちらは大丈夫ですので気をつけてくださいね』

「ありがとうございます」

愛ちゃんのお母さんがいい人でよかったと安堵して通話を切る。

嫌な予感ほどよくあたる。

スマホを握ったままため息をついていると、背後から声をかけられた。

「ひまりちゃんになにかあったの?」

「三十七度五分の熱があるって、愛ちゃんのお母さんが連絡をくれたの」

私を追って寝室からリビングに移動して来た宗ちゃんに事情を説明する。

「それは大変だ。すぐ迎えに行こう」

「うん。ありがとう」

小さい頃はよく熱を出していたひまりも、ここ数年は風邪もひかず元気に学校に通っていた。それなのに、出かける日の朝に体調を崩すなんてツイてない。

クリスマスを楽しみにしていたひまりに同情しながら身支度を整えて、宗ちゃんと初めて一夜を過ごした部屋を後にした。
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