イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
「ひまりちゃん、落ち着いた?」

居間に姿を現した宗ちゃんが、心配げに眉を寄せる。

慌ただしく横浜を出発して愛ちゃんの家にひまりを迎えに行ったものの、自宅に向かう車の中でショッピングモールに行きたかったと泣き始めたのだ。

普段は聞き分けのいいひまりが駄々をこねるのは珍しくて、宗ちゃんが心配するのは当然だ。

「うん。ようやく」

泣きじゃくるひまりをなだめるのは大変だったけれど、今は薬が効いたのか二階で眠っている。

「これ、スポーツドリンクとプリンね」

私がひまりの面倒を見ている間に、買い出しに行ってくれた彼からコンビニの袋を受け取る。

「ありがとう。助かります」

頼りになる彼を心強く思っていると、宗ちゃんが別の袋からおにぎりを取り出した。

「お腹空いただろ? 一緒に食べよう」

「うん。インスタントだけど味噌汁を用意するね」

「ありがとう」

目が覚めてすぐに愛ちゃんのお母さんから連絡があったため、今朝からなにも食べていない。

居間のテーブルに向き合って座り、ふたりでおにぎりと味噌汁を口に運ぶ。

「今日は迷惑かけてごめんなさい」

本当だったらホテルのラウンジカフェで朝食を食べてから、みなとみらいを散策して帰路につく予定だった。
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