イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
潔く身を引くと決めたのに、彼の顔を見ると好きという気持ちが胸いっぱいに広がってしまうから困る。

宗ちゃんの結婚相手にふさわしいのは私じゃないと自分に言い聞かせ、料理を黙々と口に運んだ。

昼食後もひたすらショップを回り、ひまりはスカートと髪の毛をまとめるシュシュを、私はスニーカーを、宗ちゃんはカシミアのセーターを買って帰路につく。

ハンドルを握る姿は何度見てもカッコいい。

後部座席から彼の斜めうしろ姿に見惚れていると、隣に座っているひまりに肩をトントンと叩かれた。

「ねえ、お姉ちゃんと宗ちゃんってケンカしているの?」

「えっ?」

突拍子もないことを言い出すひまりに驚いていると、バッグミラー越しに宗ちゃんと目が合う。

切れ長の瞳を見ただけで胸がドキリと高鳴ってしまうなんて、未練が絶ち切れていない証拠。

彼にときめいてしまったことを隠すように急いで視線を逸らして、ひまりと向き合う。

「どうしてそう思うの?」

「だって、全然話さないんだもん」
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