イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
冬の厳しい寒さも和らぎ、日中は厚手のコートなしでも出歩けるようになった三月下旬の日曜日。

小学校を無事に卒業したひまりのお祝いに、東京郊外にあるアミューズメント施設『ラッキーランド』に連れて来てくれた宗ちゃんとともに入場ゲートを通り抜ける。

今日はラッキーランドを初めて訪れるひまりが一生忘れられないような、素敵な思い出を作ろうと心に決めてメイン通りを進んだ。

「まずは、ラッキーちゃんのカチューシャを買わなくちゃ」

愛ちゃんたちから、ラッキーランドの楽しみ方を詳しく聞いてきたのだろう。

正面に見える美しいお城には目もくれず、ショップに入って行くひまりを微笑ましく思いながら後に続く。

「かわい~!」

店内に並ぶラッキーちゃんの耳をモチーフにしたカチューシャを見て、ひまりが大きな声をあげる。

「お姉ちゃんはどれにする?」

「そうだな。どれにしようかな」

ふたりではしゃぎながら、いろいろな種類のカチューシャを試着しては鏡を覗き見る。

「私はこれ」

ひまりがパステルピンクのカチューシャを選ぶ。

春らしい色合いがかわいいカチューシャは、ゆったりとしたブルーのパーカーを羽織った今日のスタイルによく合う。
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