イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
夏は海水浴客で賑わう海岸も冬の今は、砂浜で遊ぶ人や犬を散歩させる人の姿がチラホラいるだけ。

まったりした気分で、砂浜と歩道の間の段差に宗ちゃんと腰を下ろす。

「おじいさんが亡くなってから一年か。早いな」

「うん。そうだね」

宗ちゃんのしみじみした言葉にコクリとうなずく。

ひまりに心細い思いをさせたくなくて、お墓の前では泣くのを我慢していたけれど、宗ちゃんとふたりきりになって気が緩んだのか視界がユラユラと揺れ出す。

泣いたら宗ちゃんが困るとわかっていても、込み上げてくる涙を堪えることはできなかった。

「俺の前では強がらなくていいよ」

私の背中に腕を回した宗ちゃんの思いやりにあふれた言葉を聞いた瞬間、涙腺が崩壊してしまう。

ひまりとふたりだけの生活にはだいぶ慣れた。でも、大好きだった祖父を亡くした悲しみはいつまでも癒えないし、五年が経った今も亡くなった母親の温もりが恋しくなる。

「うっ」

声を漏らして泣く私を抱き寄せて、背中を優しく擦ってくれる彼の胸の中でとめどなく涙を流した。
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