ほらね、今日もまた、


気づけばきみを目で追って、名前を呼ぶだけで、呼ばれるだけで、話すだけで心臓がうるさくてたまんなくなるの。


わたしだけがきみと一緒にいたいな、その笑顔、ひとりじめしたいな、なんて。誰かにそんな感情を抱いたのははじめてだった。



……だけど、わたしの恋は叶いそうにない。



小中高、ずっと追っかけてきた。いつもきみは輪の中心にいて、誰とでも仲良くなれて誰にでも優しくて、誰からも頼られて好かれる素敵なひと。


うららに言われた通り、蓮くんって呼ぶのは高校ではわたしだけなんだ。それだけがわたしと蓮くんの特別で、絶対離したくない。


……そんな"特別"にも答えがあって、中学までは全員疑うこともなく"蓮くん"って呼んでた。

何も特別じゃないのに、そこに縋ってるんだ、少しでもきみの中で他とは違う子でいたくて。



< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop