色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
「えーと、イチゴ様とはどういうご関係ですか?」
「兄です!」
騎士団の男性が即答したので、「は?」という声を出してしまう。
「イチゴ様のお兄様はナイト様なのでは?」
「俺は2番目の兄です。ナイト兄様の弟で、イチゴの兄の太陽です」
「たいよう・・・」
それが彼の呼び名だろう。
長男がナイトで、次男が太陽。末の妹がイチゴ。
三兄妹だという事実を今初めて知ったことにより。
目の前にいる男がイチゴに似ていることに気づいた。
もしかしたら、ご長男よりも、彼の方がイチゴに似ているのかもしれない。
「ご挨拶が遅れてすいません。決して俺は怪しい者ではないので安心してください」
黙り込んでしまった私を心配したのか、急におかしなことを言い出したので、思わず笑ってしまった。
「失礼ですけど、エアー先生。レッスンというのは木曜日だけなんですか?」
「あ、はい。15時30分から30分ほどのレッスンになっています」
「そうですか…わかりました」
急に深刻そうな表情で訊いてくるので、どうしたんだろうと不安になる。
「あの、太陽様は騎士団なのでしょうか?」
かつて、魔法をかけた緑色の目の男と同じ制服を着ている。
黒い制服。胸元には王冠のエンブレム。
「ああ、よくおわかりですね」
「いや…制服見ればわかりますよ」
「お、そうでした。すんません。帰ったばかりで着がえてないので」
にぃっと笑った顔があまりにもカッコ良いので、流石イチゴのお兄さんだなあと思ってしまう。美男美女兄妹だ。
「帰ったばかり…?」
笑顔に見とれて聞き逃しそうになったが、はっきりと彼は『帰ったばかり』と口にした。
「太陽様はこちらにお住まいなのですか?」
この家に通い始めて、それなりに時間は経っているというのに。
何故、今まで顔を合わさなかったのだろう・・・
「ええ・・・ん? うーんと。時々、住んでます」
「時々?」
「俺は普段、首都にある寮で暮らしているので」
「ああ、そうなんですね。だから、今まで顔を合わせることがなかったんですね」
「すんません。まさかイチゴが俺のこと話してないとは思ってもいなくて」
「いえ、大丈夫ですよ」
精一杯、微笑んだつもりだったのだが。
それ以上、お互い話すことはなくて。
「じゃあ…」という感じで、お別れしたのだった。
「兄です!」
騎士団の男性が即答したので、「は?」という声を出してしまう。
「イチゴ様のお兄様はナイト様なのでは?」
「俺は2番目の兄です。ナイト兄様の弟で、イチゴの兄の太陽です」
「たいよう・・・」
それが彼の呼び名だろう。
長男がナイトで、次男が太陽。末の妹がイチゴ。
三兄妹だという事実を今初めて知ったことにより。
目の前にいる男がイチゴに似ていることに気づいた。
もしかしたら、ご長男よりも、彼の方がイチゴに似ているのかもしれない。
「ご挨拶が遅れてすいません。決して俺は怪しい者ではないので安心してください」
黙り込んでしまった私を心配したのか、急におかしなことを言い出したので、思わず笑ってしまった。
「失礼ですけど、エアー先生。レッスンというのは木曜日だけなんですか?」
「あ、はい。15時30分から30分ほどのレッスンになっています」
「そうですか…わかりました」
急に深刻そうな表情で訊いてくるので、どうしたんだろうと不安になる。
「あの、太陽様は騎士団なのでしょうか?」
かつて、魔法をかけた緑色の目の男と同じ制服を着ている。
黒い制服。胸元には王冠のエンブレム。
「ああ、よくおわかりですね」
「いや…制服見ればわかりますよ」
「お、そうでした。すんません。帰ったばかりで着がえてないので」
にぃっと笑った顔があまりにもカッコ良いので、流石イチゴのお兄さんだなあと思ってしまう。美男美女兄妹だ。
「帰ったばかり…?」
笑顔に見とれて聞き逃しそうになったが、はっきりと彼は『帰ったばかり』と口にした。
「太陽様はこちらにお住まいなのですか?」
この家に通い始めて、それなりに時間は経っているというのに。
何故、今まで顔を合わさなかったのだろう・・・
「ええ・・・ん? うーんと。時々、住んでます」
「時々?」
「俺は普段、首都にある寮で暮らしているので」
「ああ、そうなんですね。だから、今まで顔を合わせることがなかったんですね」
「すんません。まさかイチゴが俺のこと話してないとは思ってもいなくて」
「いえ、大丈夫ですよ」
精一杯、微笑んだつもりだったのだが。
それ以上、お互い話すことはなくて。
「じゃあ…」という感じで、お別れしたのだった。