色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
領主の妹だよね?
と、毎回、突っ込む。
別に玄関を見ても、廊下を見ても、部屋を見ても。
汚れているわけではない。
むしろ、きちんと掃除されている。
イチゴの見た目だって、ちゃんとした服装をしているし清潔感がある。
ということは、家事を誰かがしているってこと。
お手伝いさんがいると踏んだのに。
この家には、誰もいない。
「誰かいませんかー」
叫んだけど、返事はない。
あーあとため息をついた。
「どうして、この家には誰もいないのかなあ」
文句しか出てこない。
「エアー様、どうするおつもりですか?」
「どうするも、こうするも。様子見るしかないでしょう」
がっくしと頭を垂らした後、
ゆっくりと2階へ続く階段を上る。
「放っておいても大丈夫なのでは?」
可愛い顔して、シナモンはたまに毒を吐く。
まあ、毒を吐くくらいの強さがなきゃ、テイリーに仕えることなんて出来なかったんだろう。
「後で問題になっても困るでしょう。死んでたら嫌だし…」
そういう自分も毒を吐いているなあ…と思いながら。
2階に上がると。
手前のドアが開いていて。
中から、男性の呻く声が聞こえてくる。
「お邪魔します・・・太陽様?」
そぉーと中を覗くと。
窓際に太陽様の姿があった。
ベッドに横たわる太陽様は紺色のストライプ柄のパジャマを着ていて。
「うーん、うーん」と呻いている。
酔っ払いか? と突っ込みたくなるくらいに顔が真っ赤だった。
ベッド横にある机の上には、小瓶に入った薬と生姜がひとかけら置いてある。
「何で、生姜?」
生姜を手に取って首を傾げる。
「お医者さんには見てもらったようですよ。診断書が置いてあります」
振り返ると、人間サイズに戻ったシナモンがA4サイズの紙を拾い上げて眺めている。
「風邪かな…熱あるみたい」
こういう時、どうすればいいのかが全くわからない。
じっと、太陽様を見つめることしか出来ない。
「診断書には、疲労による熱って書いてあるから、ゆっくり休めば大丈夫ですよ。頭、冷やしたほうがいいかもしれません。私、台所から水汲んできます」
「あ、私も行く…」
シナモンについて行こうとした瞬間、
ぐいっと服を引っ張られる。
見ると、太陽様が私の服を引っ張っている。
「一人にしないで…ください」
切れ切れの声で苦しそうに話しながら、太陽様は目を開けると。
ボロボロと涙を流した。
「ひとり…怖い」
太陽様の言葉に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受ける。
「大丈夫ですよ、太陽様」
何故か私は太陽様の手を握りしめて。
ベッドの側にしゃがみ込んでいた。
と、毎回、突っ込む。
別に玄関を見ても、廊下を見ても、部屋を見ても。
汚れているわけではない。
むしろ、きちんと掃除されている。
イチゴの見た目だって、ちゃんとした服装をしているし清潔感がある。
ということは、家事を誰かがしているってこと。
お手伝いさんがいると踏んだのに。
この家には、誰もいない。
「誰かいませんかー」
叫んだけど、返事はない。
あーあとため息をついた。
「どうして、この家には誰もいないのかなあ」
文句しか出てこない。
「エアー様、どうするおつもりですか?」
「どうするも、こうするも。様子見るしかないでしょう」
がっくしと頭を垂らした後、
ゆっくりと2階へ続く階段を上る。
「放っておいても大丈夫なのでは?」
可愛い顔して、シナモンはたまに毒を吐く。
まあ、毒を吐くくらいの強さがなきゃ、テイリーに仕えることなんて出来なかったんだろう。
「後で問題になっても困るでしょう。死んでたら嫌だし…」
そういう自分も毒を吐いているなあ…と思いながら。
2階に上がると。
手前のドアが開いていて。
中から、男性の呻く声が聞こえてくる。
「お邪魔します・・・太陽様?」
そぉーと中を覗くと。
窓際に太陽様の姿があった。
ベッドに横たわる太陽様は紺色のストライプ柄のパジャマを着ていて。
「うーん、うーん」と呻いている。
酔っ払いか? と突っ込みたくなるくらいに顔が真っ赤だった。
ベッド横にある机の上には、小瓶に入った薬と生姜がひとかけら置いてある。
「何で、生姜?」
生姜を手に取って首を傾げる。
「お医者さんには見てもらったようですよ。診断書が置いてあります」
振り返ると、人間サイズに戻ったシナモンがA4サイズの紙を拾い上げて眺めている。
「風邪かな…熱あるみたい」
こういう時、どうすればいいのかが全くわからない。
じっと、太陽様を見つめることしか出来ない。
「診断書には、疲労による熱って書いてあるから、ゆっくり休めば大丈夫ですよ。頭、冷やしたほうがいいかもしれません。私、台所から水汲んできます」
「あ、私も行く…」
シナモンについて行こうとした瞬間、
ぐいっと服を引っ張られる。
見ると、太陽様が私の服を引っ張っている。
「一人にしないで…ください」
切れ切れの声で苦しそうに話しながら、太陽様は目を開けると。
ボロボロと涙を流した。
「ひとり…怖い」
太陽様の言葉に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受ける。
「大丈夫ですよ、太陽様」
何故か私は太陽様の手を握りしめて。
ベッドの側にしゃがみ込んでいた。