色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ

手紙

 手紙が送られてきたのは、太陽様の看病をしてから2日後のことだった。
「ん? 何コレ」
 テーブルの上に置かれた白い封筒を手に取る。
 ミミズが張ったような文字が書かれてあるので、誰かの悪戯かと思い顔をしかめる。
「太陽様からのお手紙です」
「…きったない字」
 ペーパーナイフで開封して2つ折りになっている便箋を開くと、看病をしてくれたことの感謝とそのお礼に食事でもどうですか? という内容がさっくりと書いてある。
「……」
 無言で手紙を読んだ後、便箋をぽいっとテーブルに投げる。

 これ以上、あの家に深く関わらないほうがいい。
 面倒臭い・・・

 その時、返事を書くわけでもなく、すぐに対面して返事をしなかった。
 それが、後々大問題になるだなんて。
 …思ってもいなかった。
< 20 / 64 >

この作品をシェア

pagetop