色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
 仕事の依頼と言われると、断ることなんて出来ない。
 朝9時。
 太陽様は馬車で我が家まで迎えに来た。
 シナモンは無表情で「いってらっしゃいませ」と言ったので「これは仕事だからね。そんな顔しないで」と何故か汗をかいて言い訳をした。

 4人乗りの馬車に、私と太陽様が向き合って座っている。
 太陽様は一張羅だと言い張る国家騎士団の制服を着て背筋をぴんと伸ばして座っている。
 近所かと思いきや、太陽様の幼なじみの家は馬車で一時間ほどの距離らしい。
 一体、この時間。何を話せばいいのやら…
 ちらっと太陽様を見ると、太陽様はぼんやりと窓の外を眺めている。
「先生、すんません。寝ていいっすか」
「え? ああ、どうぞ。どうぞ」
 てっきり、質問攻めの会話に付き合わされるかと思っていたので予想外の言葉に驚く。
 無防備に眠りこけた太陽様が目に入る。
 そうだよな…毎日町中を巡回していたら、疲れるよね。

 黙って見ていると、太陽様はイケメンの部類に入るんだろうなと感じた。
 前からイケメンだとは思っているけど。
 睫毛なっがい。
 時々、鋭い目つきをするけど、寝顔は無邪気で幼く見える。
 太陽様を見ていたら、私も眠気が襲ってきたのか。
 目を閉じると記憶が一瞬で飛んだ。
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