色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
「先生、もうすぐ着きますよ」
「んえっ」
ぱっと目を覚ますとニコニコしている太陽様の顔が見える。
外を見ると町から離れた田園風景が広がっている。
馬車が停まったのは、小学校のような校舎の前だった。
太陽様の手を借りて馬車を降りて。
案内してくれる太陽様の後に続く。
校舎に入ってすぐに国家騎士団の制服を着た20歳前後の男性が立っていた。
「ようこそ、こんな遠いところまですいませんね先生」
「はじめまして。エアーです」
背は170cm以上あるすらっとした男性だ。
ミディアムヘアにパーマをかけ、甘いマスク…
見た瞬間、ホストクラブにいそうな男性だなと思った。
「はじめまして、俺はジャックです。よろしく」
ジャックと名乗る男性が握手を求めてきたので、イヤイヤながらに握手をする。
ジャックさんからはキツめの香水の匂いがする。
ジャックさんに案内された部屋は10畳ほどの応接間。
テーブルにソファーがあって。
窓際にはアップライトピアノが置いてある。
ソファーに座って待っていると、ジャックさんは一人の男の子を連れてやって来た。
「先生、こいつはエイトって言います。エイト、歌ってやれ」
「……」
ジャックさんに言われエイトと呼ばれる男の子は不安げにこっちを見る。
「みーみーず、みずみず。みーみーず」
急に聞いたことのない童謡を歌われ困惑するしかない。
歌詞といえば『みみず』だけを繰り返し、男の子は歌い終えると。
不安げにジャックさんを見る。
「先生、エイトは変な歌ばかり歌うんですよ」
「…なるほど」
事情はよくわからないけど。
エイトくんは自分で創作した歌ばかりを歌って大人を困らせているということか。
「エイトくん、もう一度、ミミズの歌を歌ってくれるかな?」
エイトくんは黙ってジャックさんを見た。ジャックさんは「歌ってやれよ」と頷く。
再び歌い出したエイト君の歌を集中して聞き取る。
すぐさま、ピアノの前に座って、エイト君が歌った曲をピアノで弾きだす。
驚いているエイト君はピアノに合わせて大声で歌い出した。
「先生、すっげー」
端っこに立っていた太陽様が声に出す。
「耳コピは朝飯前です」
「耳コピ?」
一度聞いた曲はすぐにピアノで弾けることが出来る。
スペックの一つだ。
エイト君はミミズの歌だけじゃなく、ニンジンの歌なるものやスプーンの歌など。
創作した曲を次々と歌い出した。
それを聞いてすぐにピアノで弾きだすとエイト君は嬉しそうにゲラゲラと笑い出す。
「エイト君は作曲の才能があるのかもね」
エイト君は満足したのか、にっこり笑って部屋を出て行ってしまった。
「先生ありがとうございます」
ジャックさんが深々と頭を下げてきたので、ビックリする。
「いえ、私はエイト君が歌った曲を弾いただけですから」
「んえっ」
ぱっと目を覚ますとニコニコしている太陽様の顔が見える。
外を見ると町から離れた田園風景が広がっている。
馬車が停まったのは、小学校のような校舎の前だった。
太陽様の手を借りて馬車を降りて。
案内してくれる太陽様の後に続く。
校舎に入ってすぐに国家騎士団の制服を着た20歳前後の男性が立っていた。
「ようこそ、こんな遠いところまですいませんね先生」
「はじめまして。エアーです」
背は170cm以上あるすらっとした男性だ。
ミディアムヘアにパーマをかけ、甘いマスク…
見た瞬間、ホストクラブにいそうな男性だなと思った。
「はじめまして、俺はジャックです。よろしく」
ジャックと名乗る男性が握手を求めてきたので、イヤイヤながらに握手をする。
ジャックさんからはキツめの香水の匂いがする。
ジャックさんに案内された部屋は10畳ほどの応接間。
テーブルにソファーがあって。
窓際にはアップライトピアノが置いてある。
ソファーに座って待っていると、ジャックさんは一人の男の子を連れてやって来た。
「先生、こいつはエイトって言います。エイト、歌ってやれ」
「……」
ジャックさんに言われエイトと呼ばれる男の子は不安げにこっちを見る。
「みーみーず、みずみず。みーみーず」
急に聞いたことのない童謡を歌われ困惑するしかない。
歌詞といえば『みみず』だけを繰り返し、男の子は歌い終えると。
不安げにジャックさんを見る。
「先生、エイトは変な歌ばかり歌うんですよ」
「…なるほど」
事情はよくわからないけど。
エイトくんは自分で創作した歌ばかりを歌って大人を困らせているということか。
「エイトくん、もう一度、ミミズの歌を歌ってくれるかな?」
エイトくんは黙ってジャックさんを見た。ジャックさんは「歌ってやれよ」と頷く。
再び歌い出したエイト君の歌を集中して聞き取る。
すぐさま、ピアノの前に座って、エイト君が歌った曲をピアノで弾きだす。
驚いているエイト君はピアノに合わせて大声で歌い出した。
「先生、すっげー」
端っこに立っていた太陽様が声に出す。
「耳コピは朝飯前です」
「耳コピ?」
一度聞いた曲はすぐにピアノで弾けることが出来る。
スペックの一つだ。
エイト君はミミズの歌だけじゃなく、ニンジンの歌なるものやスプーンの歌など。
創作した曲を次々と歌い出した。
それを聞いてすぐにピアノで弾きだすとエイト君は嬉しそうにゲラゲラと笑い出す。
「エイト君は作曲の才能があるのかもね」
エイト君は満足したのか、にっこり笑って部屋を出て行ってしまった。
「先生ありがとうございます」
ジャックさんが深々と頭を下げてきたので、ビックリする。
「いえ、私はエイト君が歌った曲を弾いただけですから」