色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
楽しかったけど、不愉快だった。
孤児院での感想を述べるなら、そんな感じ。
ジャックさんの鋭い質問にぐったりとしながら。
帰りの馬車の中で、ぼんやりと今日の出来事を思い返す。
「先生、ジャックと何話していたんですか?」
ずっと、庭で走り続けていたというのに。
疲れた素振りを見せることなく太陽様が言った。
「ジャックさんとは・・・」
じっと太陽様を見ると、太陽様は不安げな表情をしている。
この人は、純粋としか言いようのないくらい良い人なんだろうな。
「ジャックさんには、太陽様の良い所を延々と聞かされました」
「まじっすか!」
まじっすかって、自分でジャックさんに頼んだのだろうが…。
あきれ返っていると、太陽様はニコニコとしている。
「そういえば、孤児院にあるピアノは太陽様のお母様が寄贈したものだとお聴きしました」
「ああ、そうです。うちの母親は色んなところにピアノを寄贈しているんですよ」
「お母様の意志を継いで、太陽様があの孤児院のお世話をしているとか」
「…先生、俺はお世話なんて出来ない人間なんですよ」
低い声で太陽様が言った。
「母は毎月、孤児院に行っていたけど。俺は仕事があるから、ほんと、たまにしか行けなくて。ジャックは同じ国家騎士団に所属しているのに毎週のように帰って子供たちの相手をしているんだから凄いっす」
「ジャック様は孤児院出身だから、あそこが実家のようなものなのでしょう?」
「…先生、俺。昔、母に言われたんです。お金を寄付するだけだったら誰にも出来る。それは、慈善活動でも何でもないんだよって」
意外としっかりと考えている太陽様に感心してしまう。
こんなに良い人だし、顔もイケメンだというのに。
考えてみたら、何で太陽様って独りなのだろう。
こんなオバサンなんか好きにならなくても、きっと綺麗で身分の高い人がいるはずなのに。もったいない。
孤児院での感想を述べるなら、そんな感じ。
ジャックさんの鋭い質問にぐったりとしながら。
帰りの馬車の中で、ぼんやりと今日の出来事を思い返す。
「先生、ジャックと何話していたんですか?」
ずっと、庭で走り続けていたというのに。
疲れた素振りを見せることなく太陽様が言った。
「ジャックさんとは・・・」
じっと太陽様を見ると、太陽様は不安げな表情をしている。
この人は、純粋としか言いようのないくらい良い人なんだろうな。
「ジャックさんには、太陽様の良い所を延々と聞かされました」
「まじっすか!」
まじっすかって、自分でジャックさんに頼んだのだろうが…。
あきれ返っていると、太陽様はニコニコとしている。
「そういえば、孤児院にあるピアノは太陽様のお母様が寄贈したものだとお聴きしました」
「ああ、そうです。うちの母親は色んなところにピアノを寄贈しているんですよ」
「お母様の意志を継いで、太陽様があの孤児院のお世話をしているとか」
「…先生、俺はお世話なんて出来ない人間なんですよ」
低い声で太陽様が言った。
「母は毎月、孤児院に行っていたけど。俺は仕事があるから、ほんと、たまにしか行けなくて。ジャックは同じ国家騎士団に所属しているのに毎週のように帰って子供たちの相手をしているんだから凄いっす」
「ジャック様は孤児院出身だから、あそこが実家のようなものなのでしょう?」
「…先生、俺。昔、母に言われたんです。お金を寄付するだけだったら誰にも出来る。それは、慈善活動でも何でもないんだよって」
意外としっかりと考えている太陽様に感心してしまう。
こんなに良い人だし、顔もイケメンだというのに。
考えてみたら、何で太陽様って独りなのだろう。
こんなオバサンなんか好きにならなくても、きっと綺麗で身分の高い人がいるはずなのに。もったいない。