色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
 自分の国でも、結局、上手くいくことなく。
 悪役とされて、逮捕されそうになって。
 別人として生きようとしても、誰だかわからない人物に恨みを買って滅茶苦茶にされた。
「俺は、貴女(あなた)の為だったらなんだって出来ます」
 真剣な顔をしたテイリーは前のめりになる。
「貴女と結婚して、貴女を守ることを…俺は出来ません。貴女も俺と結婚することは望まないでしょう?」
「……」
 半年ぶりに会うテイリーが大人びて見えるのは気のせいか。
 急いで来てくれたのか、制服姿だし髪はボッサボサだ。
 テイリーの言うことは嬉しいけど、確かに私はテイリーと結婚することなんて望んでいない。
 言葉に詰まって黙っていると、ふっとテイリーが笑った。
「いいんです。完全なる俺の片想いだから。でも、俺自身。諦めがつかないんです」
「テイリー・・・」
「貴女は故郷に帰ることを望んでいない。今の生活を続けるのだって怖いでしょう。だから…」
「だから?」

「太陽っていう男と結婚してもらいます」

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