色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅱ
真面目な顔をして「妖精の勘」と言い出してきた女の子を目の前に、私は呆れ返った。
そんなんで、よくもまあ今まで生きてきたわねえ。
左手で頭を抑え込んで。
「そういえば、貴女の名前を聞いてなかったわね」
緑目の男の一件があったせいか、
人に対して名前を訊くのは、どこかはばかられた気がしたのだ。
女の子の正体がわかったことだし、訊いても問題はないだろう。
「…妖精に名前はありません」
「はあ!? え!? じゃあ、テイリーにはなんて呼ばれてたの」
急に暗いトーンで女の子が言い出すので。
驚いて変な声が出てしまう。
「…テイリー様には、妖精や、虫・・・あとは、ピンク」
「ピンク? なんで、ピンク?」
なんでと言ったと当時に、
ぼふんと言う音と煙で女の子の身体が見えなくなったかと思うと。
手のひらサイズの妖精が目の前に…机に立っている。
驚きすぎて、声が出ない。
自分が思い描いていていた妖精が、まさに目の前にいるのだから。
目の前にいるのは、ピンク色の髪の毛に赤い瞳? 小さいので近寄らないと、はっきりとは言えないけど。服装は白いワンピース。背中には羽根らしきものがキラリと光る。
「本当の姿だと、髪の毛がピンク色なので」
声が小さかったので、思わず顔を近づけて彼女の声を拾おうとする。
そうか、その姿だったらテイリーに虫呼ばわりされるのも納得。
いや、納得しちゃ失礼だよね。
「うーん…、私が考えちゃっていいのかな」
「是非ともお願いします!」
潤んだ目で妖精が言うので。
どうしようと、部屋を見渡すと。
食器棚にある調味料が目に入った。
透明な瓶の中に入った調味料の中で、スティック状のシナモンがあることに気づく。
「シナモン・・・」
ぼそっと呟くと。
「シナモン! 素敵な名前ですね」
「え・・・いいの」
目に入ったものを一つずつ挙げていこうと思っていたのに。
一つ目の言葉に、妖精はすぐさま反応した。
「私の名前はシナモンでお願いします!」
また、煙があがったかと思うと。
人間の姿に戻った妖精・・・シナモンが嬉しそうに言った。
「全身全霊、アリア様に尽くしますっ」
「・・・あのさ、今の変身って魔法だよね?」
妖精の姿になったり、人間の姿になるシナモンを見て顔を引きつりながら言うと。
「いいえ、妖精は魔力は持てないので。妖力です」
「ようりょく・・・じゃあ、いいのか」
もう今日一日、色んなことがありすぎて。
考えるのをやめた。
なるほどと呟きながら、私は心の中で「あー、疲れた」と思った。
そんなんで、よくもまあ今まで生きてきたわねえ。
左手で頭を抑え込んで。
「そういえば、貴女の名前を聞いてなかったわね」
緑目の男の一件があったせいか、
人に対して名前を訊くのは、どこかはばかられた気がしたのだ。
女の子の正体がわかったことだし、訊いても問題はないだろう。
「…妖精に名前はありません」
「はあ!? え!? じゃあ、テイリーにはなんて呼ばれてたの」
急に暗いトーンで女の子が言い出すので。
驚いて変な声が出てしまう。
「…テイリー様には、妖精や、虫・・・あとは、ピンク」
「ピンク? なんで、ピンク?」
なんでと言ったと当時に、
ぼふんと言う音と煙で女の子の身体が見えなくなったかと思うと。
手のひらサイズの妖精が目の前に…机に立っている。
驚きすぎて、声が出ない。
自分が思い描いていていた妖精が、まさに目の前にいるのだから。
目の前にいるのは、ピンク色の髪の毛に赤い瞳? 小さいので近寄らないと、はっきりとは言えないけど。服装は白いワンピース。背中には羽根らしきものがキラリと光る。
「本当の姿だと、髪の毛がピンク色なので」
声が小さかったので、思わず顔を近づけて彼女の声を拾おうとする。
そうか、その姿だったらテイリーに虫呼ばわりされるのも納得。
いや、納得しちゃ失礼だよね。
「うーん…、私が考えちゃっていいのかな」
「是非ともお願いします!」
潤んだ目で妖精が言うので。
どうしようと、部屋を見渡すと。
食器棚にある調味料が目に入った。
透明な瓶の中に入った調味料の中で、スティック状のシナモンがあることに気づく。
「シナモン・・・」
ぼそっと呟くと。
「シナモン! 素敵な名前ですね」
「え・・・いいの」
目に入ったものを一つずつ挙げていこうと思っていたのに。
一つ目の言葉に、妖精はすぐさま反応した。
「私の名前はシナモンでお願いします!」
また、煙があがったかと思うと。
人間の姿に戻った妖精・・・シナモンが嬉しそうに言った。
「全身全霊、アリア様に尽くしますっ」
「・・・あのさ、今の変身って魔法だよね?」
妖精の姿になったり、人間の姿になるシナモンを見て顔を引きつりながら言うと。
「いいえ、妖精は魔力は持てないので。妖力です」
「ようりょく・・・じゃあ、いいのか」
もう今日一日、色んなことがありすぎて。
考えるのをやめた。
なるほどと呟きながら、私は心の中で「あー、疲れた」と思った。