11年目のバレンタイン〜恋を諦める最後の告白

「でも、麗奈も遊びすぎだよ。レポートも締め切り破るし…高槻教授に公衆衛生学の単位貰えなかったら、卒業どころじゃないよ」

親友なら、耳が痛いこともきちんと伝えないと。そう思うから、あえて厳しいことも口にする。

「せっかく病院の就職内定もらってるんだから…意地でも卒業しなきゃもったいないよ。病院で経験積んで、管理栄養士資格目指すんでしょ?」
「う〜わかってるってば」

麗奈は髪の毛の先を指に絡め、もて遊び始めた。イライラしはじめた時のクセだ。


「ちゃんと卒業しないと、兄(に)いにも負担かけちゃってるからね。留年なんてしたくない」

麗奈がお兄さんの事を口にしただけで、ドキンと胸が高鳴る。ドキドキドキドキと鼓動が速くなって、落ち着かない気恥ずかしい気分になってしまう。
彼が、ここにいるわけでもないのに。

「そ、そうだね……真人(まひと)さんも、大学卒業してからずっと麗奈の保護者代わりだったものね」
「だよ!兄い……同世代の人たち遊んでても、ずっとアタシのために頑張ってくれたもんね…」

さすがに麗奈も感傷的になったか、顔を伏せた。



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