11年目のバレンタイン〜恋を諦める最後の告白
それでも、とわたしは諦めなかった。
家がお隣同士の幼なじみ。食事の世話だってするし、誰よりも真人さんのそばにいて、誰よりも真人さんが好きな自信があったから。
彼の好きなものがカツカレーだとか、嫌いなものは甘いものとか、逆にフルーツのかんきつ系だけは食べられるとか、よく髪の毛を乾かさず寝るから朝くせ毛がすごいとか、休みの日はひげを剃らないから夕方にはジョリジョリとか。案外ぬいぐるみが好きとか。
人間らしい彼を知ってる……なんて優越感も、ちょっぴり持ってた。
わたしが真人さんを好きだと気づいたのは、小4のクリスマス。誕生日と重なるから、いつもクリスマスと誕生日まとめてお祝いされていたのに、真人さんだけは2回分のプレゼントを用意して、ちゃんとお祝いも言ってくれたから。
親でさえ、纏めて済ませていたのに。真人さんだけはきちんとわたしの誕生日を覚えてお祝いしてくれた。
たったそれだけかもしれないけど、わたしにはとてつもなく嬉しい出来事で。
この人が好きだと、気づいたんだ。
そして、2ヶ月後のバレンタインは生まれてはじめて異性へ贈るためにお小遣いでチョコを買い、真人さんへプレゼントした。
「真人さん、好きです」
そして、答えは。
「ありがとう。嬉しいよ」
だった。