11年目のバレンタイン〜恋を諦める最後の告白
以来、10年。
毎年、毎年。バレンタインデーにはチョコを用意して告白するのは恒例行事になってた。
とはいえ、わたしはいつもいつも真剣。
自分なりにどうしたら伝わるのか、と工夫を重ねてきた。
気持ちを綴った手紙を渡したり、可愛くしてみたり、逆に大人っぽくしてみたり、手編みのマフラーやセーターを渡したり、チョコを手作りにしたり。
でも、ことごとく無駄だった。
「真人さん、好きです」
「ありがとう、嬉しいよ」
今まで10回、繰り返してきた。
自分でもよくやってきたと思う。
今年こそは、と決意をしたお正月。麗奈のLINEで
“兄いが秋に結婚するって言った”
“専務の娘さんに気に入られてるみたい”
“何回か見たことがあるこの人かも”
麗奈が隠し撮りしたらしい写真には、今までで一番綺麗な女性と、今まで見たことがない優しい笑顔の真人さんが写ってた。
それは、わたしの恋の希望を打ち砕くには十分すぎるインパクトがあって。
その後、内定をもらい勤務地で迷っていた就職先に電話をした。
“一番遠い勤務地でお願いします”ーーと。