身代わり同士の結婚。 〜年下ですが、愛してくれますか?〜
式場に到着すると父と腕を組む。
「優結、ごめんな。こんなことになってしまって」
「何言っているの、お父さん。突然の婚約結婚だけど、葵織さんはとても素敵な方だもの……だから、とても幸せよ。それに結婚式の前に言うことじゃないでしょ?」
「そうか、そうだな。改めて、おめでとう優結」
扉が開き、バージンロードを父と歩いた。祭壇の前で待っている葵織さんの元へゆっくりと進むと、父から葵織さんに代わる。
「葵織くん、この子のことよろしく頼むよ」
「はい」
父が列席に座ると、讃美歌斉唱が始まり誓約となる。ドラマなどで見るような誓いの言葉だ。
牧師さんに問われ、葵織さんが「誓います」と答えた。そして私も同じように問われ「誓います」と言うと、指輪の交換となる。
この指輪は、婚約が決まって葵織さんと結婚指輪の専門店で一緒に選びオーダーメイドをしたものだ。
葵織さんから私に、私から葵織さんに結婚指輪をはめる。少しだけ手が震えたけどなんとかはめることができた。
顔を上げると彼は微笑んで「ありがとう」と言ってくれて釣られて私も微笑む。すると、私のベールを上げた。確かベールアップの意味は『二人の間の障壁を取り払う』だった気がする……私たちの間には、まだ壁があるというのになんて思ったが結婚式は進む。