身代わり同士の結婚。 〜年下ですが、愛してくれますか?〜
◇ 花嫁たちの逃亡
今から一年前の春。私は十七歳になったばかりで高校最後の年に心躍っていた。
「優結〜学校、遅れちゃうよ〜」
「うん、わかってるー!」
私はお気に入りの制服を着て髪を整えて自分の部屋を出ると、玄関にはお姉ちゃんが待っていた。
「ごめん、お姉ちゃん」
「もう〜優結ったら……遅れても知らないわよ?」
「えへへ、ごめんなさい」
靴を履くと、両親が玄関まで出てきて「行ってらっしゃい」と見送りをしてくれて外に出れば運転手の浅木さんが待ってくれていた。
私の家は、西條不動産を経営している一族で父が社長を務めているため私たちはいわゆる社長令嬢というやつで苦労などしたことがない恵まれている生活を過ごしていた。
「じゃ、行ってらっしゃい〜」
「うん。お姉ちゃんも気をつけてね」
高校の校門前で降ろされると私は学校に向かった。いつものように一日が過ぎ、私は帰路に着いた。……のだけど。
家はとても騒がしかった。なんでだろう、そんな呑気な気持ちでリビングに入る。
すると、両親とお姉ちゃんの婚約者で筒香さんの両親が向かい合っていて使用人がバタバタと電話をかけたりしていた。