冥府の女神のヤンデレ愛・妄想爆裂・古代メソポタミア神話
玉座に座っている女性神・・・
顔は、黒いベールに覆われてわかりません。
同じように、体も
黒いローブに、すっぽりと覆われています。

唯一目に止まったのは、
黒曜石が光る、錫杖(しゃくじょう)を持つ手です。
真っ白で、小さな、それは小鳥の卵のように見えました。

「死者は、私の裁定を受けますが、その方は神です。
神の場合は、冥府でも会議で、
合議制を取り、裁定をします。
しからば・・・」

ネルガル神は、唾を
ごくりと飲み込みました。

「しからば、しばしの時間が必要です。
待機の間は、離宮でお過ごしいただくよう」

そう言うと、
エレシュキガルは杖を手に、立ち上がりました。
お付きの侍女が、すぐに介添えで、両脇に立ちます。

冥府の女神、エレシュキガルはゆっくりと歩き、
暗幕のようなカーテンの影に消えました。

ああ・・
何も言えなかった・・謝罪・・
ネルガル神は、気が抜けたように座り込みました。

「ネルガル様、離宮にご案内します。」
ナムタルは事務的にいい、
従者に連れて行くように、合図をしました。
< 22 / 62 >

この作品をシェア

pagetop