君に溺れてみたい
事務所は公園の一角にある雑居ビルの中だ。

私は軽やかな足取りで、事務所のドアを開けた。

「お疲れ様です。」

「ああ、マオリちゃん。お疲れ様でした。」

私は大抵仕事が終わったら、清算に来るので、事務所の人もそれを分かってくれている。

「はい、今日の分。」

「ありがとうございます。」

私は渡された封筒の中を確認した。

1万円札が2枚。千円札が4枚。500円硬貨が1枚。

これが私の今日の給料だ。

「諭吉が2枚か。」

「短時間コースだったからね。」

「あの人年収高いのに、どうしていつも、短時間コースなんだろう。」

「その人の金銭感覚によるからね。」

女性を卑下している事を考えると、女の子にお金を使わない質なのかもしれない。
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