君の背中を見送って
マンションの下で肩を震わす真里の背中に声をかけた




「どうして泣く?」





返ってくるのは俺を受け入れる言葉以外いらない



いらない




聞きたくない





真里、驚いた顔をやめて何か言えよ





「真里、行くなよ。行かないでくれよ…」




ここで指輪を渡せば効果抜群なはず…



でも、俺には指輪を持ってくる余裕などなかった


いつだって真里の前じゃ余裕なんてない



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