【電子書籍化】婚約破棄したい影の令嬢は
そんな時、森にボロボロになった少年が倒れていた。
イエローゴールドの髪にオレンジ色の瞳を持った人間だった。

アイネは、その少年に興味津々だった。
ミルクティー色の髪を花の茎で束ねたアイネは、木の皮に水を汲んで男の元へと、そっと運んだ。

どうやら男は足を怪我しているようで、次の日もその場に佇んで動かなかった。

アイネは癒しの力は持っていない。
他の妖精達は人間を嫌っている為、人間の為に力を使う事はないだろう。

どうしようかと悩んだアイネは、少年が寝ている間に森の果実や水、傷に効くという薬草を置いた。

そしてアイネは木の上で、ずっと人間を観察していた。

(‥‥人間って、私達とあまり変わらないのね)

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