【電子書籍化】婚約破棄したい影の令嬢は
ーーーー数日前、フィルズは森を歩いている時に足を滑らせて崖の下に転落してしまった。



懸命に助けを求めたが森の奥深くに人などいる訳もない。
次第に足は腫れて痛みが酷くなる。
フィルズは絶望していた。
寒々しい夜が過ぎて、フィルズは喉の渇きと空腹で目を覚ました。

そんな時、木の皮に水が置いてあった。
その次には果実、寝て起きるとまた新しいものが置いてある。
布団になりそうな大きな葉っぱも。

フィルズは祖母が言っていた話を思い出していた。
ここは妖精が住む森だと。

(‥妖精が僕を助けてくれたのかな?)

フィルズは不思議な贈り物のお陰で命を繋ぐことが出来た。
そして、それは不安な心を和ませてくれた。

足の腫れも徐々に引いていった。
フィルズは足を引きずりながら川へと向かった。
水浴びをしていた時に、あろうことか怪我をしていない足が攣ってしまったのだ。
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