初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「催眠術って知っているね?」
「王国で、睡眠の法や隷属の法と呼ばれている
奇術でしょうか?」
カステード貴族の間では、近頃宴の余興として
流行り始めていました。
我が家では、お父様がそういう類いのものを
嫌われるので、私が実際に目にしたことは
ないのですが。
「そうだ、こちらでは催眠術という
あれはかける術者を信じる者やその場の雰囲気に呑まれやすい者ほど術にかかりやすいが、
絶対に術にはかからないと、術者を信用していない者は、全くかからない
あの女の力とはそれと同じような力だろうと、俺達は捉えている」
もしかして、と考えてみました。
「それはペロー嬢が皆様に掛けたという指輪の力と同じものでしょうか?」
私の問いに皇太子殿下は肩をすくめられました。
「指輪の魅了なんて、俺は信じていないよ」
「……」
「アーロンは王太子だ
俺もそうだが、そういう得体の知れないものに惑わされない教育は幼い頃から受けている
もし魅了とやらに掛けられていたのだとしても王族だよ?
影が気付いて、早々に対処していただろうね」
「元の指輪の持ち主は、アン・ペローの祖母です
彼女は勿論のこと、ペローの血筋には魔術に
関係している者は、先祖を辿っても存在していません」
エドガー様の口調は、淡々としたものでした。
そうでした……
ペロー嬢は教会、それも大司教様が推薦して
特待生になられたのです。
教会は魔術や魔女の存在を認めていません。
彼女が魅了を使う魔女である訳がないのです。
「王国で、睡眠の法や隷属の法と呼ばれている
奇術でしょうか?」
カステード貴族の間では、近頃宴の余興として
流行り始めていました。
我が家では、お父様がそういう類いのものを
嫌われるので、私が実際に目にしたことは
ないのですが。
「そうだ、こちらでは催眠術という
あれはかける術者を信じる者やその場の雰囲気に呑まれやすい者ほど術にかかりやすいが、
絶対に術にはかからないと、術者を信用していない者は、全くかからない
あの女の力とはそれと同じような力だろうと、俺達は捉えている」
もしかして、と考えてみました。
「それはペロー嬢が皆様に掛けたという指輪の力と同じものでしょうか?」
私の問いに皇太子殿下は肩をすくめられました。
「指輪の魅了なんて、俺は信じていないよ」
「……」
「アーロンは王太子だ
俺もそうだが、そういう得体の知れないものに惑わされない教育は幼い頃から受けている
もし魅了とやらに掛けられていたのだとしても王族だよ?
影が気付いて、早々に対処していただろうね」
「元の指輪の持ち主は、アン・ペローの祖母です
彼女は勿論のこと、ペローの血筋には魔術に
関係している者は、先祖を辿っても存在していません」
エドガー様の口調は、淡々としたものでした。
そうでした……
ペロー嬢は教会、それも大司教様が推薦して
特待生になられたのです。
教会は魔術や魔女の存在を認めていません。
彼女が魅了を使う魔女である訳がないのです。