初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「確かに殿下は貴女と話をしたいと、仰っておられましたが、学院に戻ってからご自分で、お声をかけるご予定でした
 意外に思われるでしょうが、ダミアン殿下は
誰かを使って目的に利用しようとされる御方ではありません」

「……意外です」

「今日はたまたま貴女が我が家へいらっしゃると聞きまして……妹は貴女を心配して同席を願ったのですが、殿下が皇女殿下にご協力をお願いして、妹を呼び出していただきました」

(皇女殿下からのお誘いは断れないわね)


キャルが私に近付いて友人になってくれたのは、皇太子殿下のご指示ではなかったと、聞くことが出来て嬉しくなりました。


「次は私の名前で、お誘い致します」

別れ間際、寮に入る私にエドガー様がお約束を
して下さいました。



エドガー様に送っていただき、寮へ戻った私を
待っていたのは、キャルから届けられていた手紙とお菓子でした。


キャルからの手紙には
『急にこんなことになって申し訳ない
 貴女を騙すつもりはなかったので信じて欲しい
 明日学院で顔を会わす前に、とにかく本日中に謝りたかった
 皇太子殿下は強引な男だが、悪いやつではない
 しかし少々腹黒なので、貴女に無体な真似を
しないよう、
 おじさんに見張ってて欲しいと頼んでいる』と、綴られていました。
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