初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「愛するペローが側にいるからと、あの女と接触しなくても言い訳が立つ」

「ペローが平民だからこそ、王太子の恋人なのに王家も公爵も彼女を見逃してやって排除しなかったのです
 この役割を貴族のご令嬢に頼んだら大事になってしまうでしょう」

確かに……どの爵位の家門のご令嬢でも、
王太子殿下の恋人だとなれば、
家門のご当主様を始め、様々な思惑が発生する
だろうと思われました。

ご令嬢に対しても、王太子殿下がきちんと
お立場を与えて差しあげないと、傷物とされて
後々他家に嫁ぐことは叶わないでしょう。

何より格下の貴族に蔑ろにされたランカスター
公爵閣下が、どのように動かれるか。

平民の女性ならば、側妃になっても
王妃クリスティン様の敵にはならないと、
お許しになったのかも知れません。

 
「アン・ペロー嬢を側妃にする為にどこかの養女にするとなれば、
公爵閣下はご自分の息のかかった家門を、ご紹介するおつもりで見逃していたのですね」


側妃を丸々取り込もうとした公爵家と、教会の
攻防はご成婚後も続いていたはず。
王子殿下からの婚約破棄、
若しくは、クリスティン様の一言がなければ。


「シャーロットは理解が早くて助かる」


殿下が私に向かって笑顔を見せられましたが、
誉められているようには感じられませんでした。


「そもそも俺が指輪の魅了や真実の愛について、おかしいと思ったのはペローの処刑に疑問を持ったからだ」

「裁判も開かれなかったことでしょうか?」

「まぁ、それは王太子を魅了した魔女とされたのだから、有り得ることだと思うけど」
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