初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
王家は平民のペロー嬢おひとりに罪を被せた。
教会は後ろ楯だと思われていたのに、見放した。
自分の身内を守るために……

だから出来るだけ、楽に死なせてあげることに
した。


もう十分です、もう何も聞かせないでください。
殿下に跪いて、そうお願いしようと思いました。

もう嫌なんです、そう言おうとしてるのに……


「シャーロットは何故婚約破棄の一連の騒ぎが
起こったか、考えた?」

そう皇太子殿下は仰ると正面の席から私の顔をまじまじと見つめられました。


「それは……
 クリスティン様の力を恐れた第1王子殿下が」

「結果的に誰が得をしたか、わかってるだろ?」


ブラッド様を廃嫡された侯爵様は騎士団団長を
始め全ての公務から退かれて、領地に籠られました。
宰相様はその任を解かれ、ご自身以上の切れ者と言われたご嫡男に当主の座を譲られました。
大司教様も代替わりされ、家門からは二度と
その地位に就かれる方は出られないだろうと
言われています。


誰も得などしていないように思われました。
あの断罪劇に関わった方では……


一生懸命、あの顛末を思い出そうとして、
そして浮かんだ名前は。


廃嫡されたアーロン第1王子の替わりに立太子
された第2王子、オーランド殿下。
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