初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「学園では皆でアーロンを守っていたと、言ったけれど……
 その内の1人は監視していたのかもしれない
 父親に捨て駒扱いされた次男が自分が望んで
したのか、不明だが」


王子殿下と側近の方達は、立太子された頃からのお付き合いだと、聞いておりました。
宰相家のレイモンド様は、いつも楽し気に笑っていらしたのに。


自分達の計算違いで、魔女にされて一家諸とも
処刑されてしまったペロー嬢の最期を知って、
アーロン王子殿下や側近のお三方は。


「年下の俺が言うのもあれだけれど……
 成年って云っても大人に振り回された結果だ 
 大人しく命じられた通りにあの女を王太子妃にして、ゆくゆくは王妃にさせても、特に問題は
なかった
 クリスティンは妖しい力を持っている女だが
王国を乗っとるとか、滅ぼす類いの悪女ではない
 ……だが俺だったら、やはり耐えられない
 アーロンと同じ事をしたかも、と思う」

「王子殿下が毒杯を受けられたのは、罪悪感からでしょうか?」

私の胸には苦いものが広がっていました。


「アーロンの遺体の確認は出来ていない
 王家は半旗を掲げ、王子の死を発表したが 
それだけだ
 そして側近達は行方不明」

「王子殿下達が生きている、ということですか」
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