初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「帝国と王国は近い
 国境を越えたら、王家の血を引く公女に手出しは難しい
 成人した男女間の恋愛問題で、引き渡しを要求することも出来なかった」

「それで以前クリスティン様の事を、帝国から
逃げ出したと、仰ったんですね」

「傷が癒えた叔父上は皇族としての全ての公務、特権、そしてご自分の血筋の皇位継承権を永年
放棄した
 それはあの女が身籠った時の事を考慮してだ
 叔母上には、私的資産をほぼ全部、自らの不貞を理由の離婚申請、親権の放棄、それらを用意した
 両陛下は叔父上おひとりの責任ではないと、
皇帝領のグッドウィンを与えて、公爵家を新しく創設した」


突如グッドウィン公爵領を賜って、帝都から移られた皇弟殿下。
大怪我を負われたので、皇籍を離れられたと聞いていました。


…その理由は。
クリスティン様。



「おひとりで帝都を離れる閣下にお供を願いましたが、ご自分には剣を捧げて貰う価値はないと、断られてしまって……
 父には閣下をお守り出来なかった責任を取り、あの女をどうにかせよと、言っていただき、
 陛下にバイロンの家の後顧の憂いがなくなったので、あの女の最期が見たいと、お願いしたのです」
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