初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
その日、私はキャルと図書室で卒業試験の下調べをしていて、寮に戻るのがいつもより遅くなっていました。
冬の終わりの夕暮れが早くも訪れていました。
侯爵家の馬車はなく、馬に乗って来られたらしいエドガー様が寮から少し離れた所に立っておられました。
彼が羽織ったマントにも、履き込まれたブーツにも、馬の背に乗せられた鞍にも土埃がついていてどこか遠くから戻られて、
そのまま会いに来てくれたのだと驚き、嬉しく思いました。
「グッドウィンに行って来ました」
「公爵閣下はお元気にされていましたか?」
「……勝手で申し訳ありませんが、貴女の話を
させていただきました」
「……」
私の話をされたと言うことは、
クリスティン様の名前も出るはず……
「私には幸せになって欲しいと、閣下は仰って
くださいました」
同い年のエドガー様と公爵閣下は学院にいらした頃、互いに『スタン』『エド』と呼び合う親友
だったのだと殿下に教えていただいていました。
「次に閣下に会う時には、貴女にご一緒して
欲しいと、お願いに参りました」
「……」
「貴女となら俺は……、前を向いて歩けます」
「私も閣下や公妃様にお会いしたいです……
どうぞよろしくお願い致します」
私がそう言うと、エドガー様は目の前に跪かれて
私を見上げ、微笑まれました。
冬の終わりの夕暮れが早くも訪れていました。
侯爵家の馬車はなく、馬に乗って来られたらしいエドガー様が寮から少し離れた所に立っておられました。
彼が羽織ったマントにも、履き込まれたブーツにも、馬の背に乗せられた鞍にも土埃がついていてどこか遠くから戻られて、
そのまま会いに来てくれたのだと驚き、嬉しく思いました。
「グッドウィンに行って来ました」
「公爵閣下はお元気にされていましたか?」
「……勝手で申し訳ありませんが、貴女の話を
させていただきました」
「……」
私の話をされたと言うことは、
クリスティン様の名前も出るはず……
「私には幸せになって欲しいと、閣下は仰って
くださいました」
同い年のエドガー様と公爵閣下は学院にいらした頃、互いに『スタン』『エド』と呼び合う親友
だったのだと殿下に教えていただいていました。
「次に閣下に会う時には、貴女にご一緒して
欲しいと、お願いに参りました」
「……」
「貴女となら俺は……、前を向いて歩けます」
「私も閣下や公妃様にお会いしたいです……
どうぞよろしくお願い致します」
私がそう言うと、エドガー様は目の前に跪かれて
私を見上げ、微笑まれました。