初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
クリスティン様に綺麗な身体になりました、
そう教えて差し上げよう。
何度も愛していますと、言ってくれた。
今なら彼女に応えてあげられる。


そのはずだった。
笑顔も見せずに、クリスティン様が言った。


(いいわ、せっかく来たから教えてあげる
私とあの御方はやっと結ばれたのよ
お互いの立場があって、二人とも我慢していたの
口に出してはくださらなかったけれど
あの御方が私を愛してくださっていたのは
知っていたわ

あの御方も私が言えないことは理解してくださっていたの
お互いに結ばれない運命だってあきらめたの
仕方なくあの御方はご結婚なさった
仕方なくよ、5歳も年上の女よ
愛してるわけないじゃない
皇帝陛下からお古を押し付けられたの)


夏には俺の事を『ノーマン様』『貴方』と呼んでくださっていたのに、お前と言われた。


(久しぶりにお会いして大人になったね、って
言ってくださった
今ならあの御方に愛していますと、お伝え出来ると思ったのに、いつも隣にあの女がいるの
あの御方と女の間には子供が2人もいたけど、
偽りの結婚なのはわかっていたわ)
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