初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「とどめは、どの貴族の家門からもブライトンの家に嫁ぐ娘はいない」

「……どう言うことだ?」

「言葉通りお前の兄貴達は誰とも結婚出来ない」

「……そんな事が出来るわけない!」

「ランカスターになら出来るさ
 王家と血筋が繋がっている筆頭公爵家だ
 現に兄貴達に、縁組の話は来てないだろ?」


確かに2人がまだ結婚してないと、メイド長から聞いていたが。


「お前の母親はその事を知らない
 だから、お前の情報源のメイドも知らない」


男は俺の全部を知っているのだと、改めて思い
知った。
クリスティンを沈めてあの街へ逃げ込んだこと。
あの街で俺がしてた仕事。
月に一度、かつての使用人と会っていることも。
全部を知られている。


「兄貴達が嫁に取れるとしたら領内の平民だけ
だろうから、
子供が生まれても伯爵位は継げないな
 平民の嫁を養女にしてくれる貴族はいない
 また血筋を絶さない為にブライトンに養子に
行く貴族はいない
 兄貴2人が亡くなれば、ブライトンの爵位も
領地も返上しなくてはいけない
 お前の家は、ただのダドリー家になる
 息子が3人もいて、将来は盤石だったのに
1人の馬鹿のせいで没落する羽目になった」
< 172 / 190 >

この作品をシェア

pagetop