初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
俺のせい……?
両親や兄達の顔を見たのは夏が終って、
クリスティンの所から戻った日が最後だった。


「お前がやらかしたのは娘の殺害だけじゃない
 ランカスターの力を止めたからだ」

「……」

「その意味を、お前が知る必要はない」


そのまま、男は話さなくなった。
王都からどれくらい離れてしまったのか、
もう見当もつかない。


「もうすぐ着く」

男は外を眺めながら低い声で言った。


着いたら、どんな目に合うのか考えたくない。
そもそも、この男がどうして俺をこんな目に
合わすのかがわからない。


こいつは帝国の男だ。
皇太子が俺を拉致する様に命じたのか?

皇弟にやらかしたらしいあの女を始末したけど、それは責められる事か?
お腹の中の子供か?
いや、それは生まれてはいけない子供の筈なので感謝して貰ってもいい。

< 173 / 190 >

この作品をシェア

pagetop